ふっと眼を覚ますとあれから30分以上たっていた(良く寝たぁ)イノはまだ来ていない、午後4時過ぎメチャクチャ腹減ったがまだ食べる勇気がない。
そしてイノが到着、実に1年ぶりの再会である彼が乗ってきた軽トラには愛娘の黒柴の<アズキ>が乗っていた。
「久しぶり」「どう落ち着いた?」などと会話を交わし「今晩、近くの温泉に行こう。そこの隣にそば屋が有るからそこで晩飯食べよう」とイノが言うので「今歯が痛くて噛めないから丁度いいや」と返し、とりあえずイノの家に向かう事にした国道から山道に入りどんどん山奥に入って行く「昔、よくツーリングで通った風景に似ていてなんだか懐かしい感じだ」と思いながら細い急な登り坂を進むとカーブを曲がったとこで軽トラが止まった。
ここか?想像していた様な古民家ではないがかなり古い家には違いない、ここを自分で改築して住んでいるのかと中を見せてもらうと
床が無い!
根太の上に足場板が流してある、そして壁の至る所にブルーシートで塞いである
これが噂の“家の中にテントを張って寝る家”?か、あれから1年経っても健在だったか!去年遊びに行った友人から話は聞いていたが長いテント経験の中でもインドアでのテント泊は初体験である。
一通り案内してもらって家の中へ入りロールアップテーブルとディレクターチェアで奥さんが仕事から帰って来るまでの間プシュ!と乾杯。
やがて奥さんが帰ってきたので温泉に出発!途中共同の焼物小屋の前を通り「都会の人自分で作った陶器を焼きに来るんだよ」と説明され「きっとそういう方達が作家さんと呼ばれる人達なんだよ」などと勝手に決め付け あっと言う間に“かじかの湯”に到着、ここはお湯が少しヌルっとした感触だがいい湯だった。
場所をそば屋に移し、イノは天婦羅そば冷やしで大盛を注文し自分は天婦羅そば温でと注文するとイノが大盛でなくていいの?というもんだから ついじゃあ大盛でと言ってしまった(最近控え目にしていたのに)がこれが悲劇の始まりとは、知る由もない。
ほどなく生ビールが配られ“かんぱーい”そして悲劇の蕎麦がきた「うまそう」と汁に付けズルっと行くと物凄く腰のある麺で歯応えが有って旨いのだろうが今日はそんな呑気なこと言ってられない朝から歯が痛くて食べてないのだ当然激痛が頭を走った、その痛みは今まで経験した事の無い痛み激痛を通り越し爆痛である。
さっきの欲張った事が悔やまれる「あのまま温にすれば、こんな・・・」
もう味わってなんていられない、やっとの思いで噛み切りそのまま飲み込む(すでに飲み込むのも痛い)、奥さんが「いいよ♡ゆっくり食べて」と言ってくれた、さすが看護師やさしい。
やっとの思いで完食しイノ宅に帰ると奥さんが痛み止めの薬をくれたビールと一緒に?さすが看護師だ言う事が違う「もう飲んでるから一緒だよ」そしてその夜は歯の痛みも忘れ久しぶりの再会に時を忘れた。
翌日の朝、近所を犬と散歩しながら歩くと都会とは時間の流れの早さの違いを感じる、おそらく便利さは無く大変な事も多いと思うがうらやましかった(自分には出来ないから)
今度、魚送るよ!(釣れたら)